取り組み

2016.10.21

T’S Street Art Collection2016

 ストリートアート(street art )とは、

都市空間や路上などの公共空間でゲリラ的に行なわれる表現の総称。1970-80年代のニューヨークで発展したグラフィティは、独特にデザインされた名前(タグネーム)を主にスプレー塗料やマーカーを用いて街中にかくというものだったが、ストリート・アートはグラフィティ文化を経由しながらも、より広い社会的・政治的メッセージ性、都市・建築などの空間に対する意識、現代美術のコンテクスト、さまざまな素材やテクニック、アイディアなどを取りこみながら実践される一連の文化的動向を指す。

80-90年代には、グラフィティの発展形としてしばしば「ポスト・グラフィティ」という言葉も存在したが、局所的な現象に留まっていた。2000年代に入り、ストリート/ホワイト・キューブを問わず、時にはインターネットなどの情報環境も積極的に利用するような複雑で多様な表現手段が急増していくにつれ、より広い意味をこめて「ストリート・アート」という言葉が主流になっていく。

他方で、グラフィティとストリート・アートの境界線が曖昧なことから、語の指示範囲が個々人の主観的な判断に委ねられることも多く、言葉としての安定性に欠けていることも否めない。そのため、古典的なグラフィティの形式性を重んじる立場からは亜流として敬遠されることもある。また、08年にはロンドンのテート・モダンで「ストリート・アート」というタイトルの展覧会が行なわれており、大型美術館での本格的な紹介も年々増えつつある。

(art scape 2016年09月15日号より引用)